小さな庭の物語

小さな庭のガーデニングを中心に更新していきます。

季節はずれの誕生


春かなと思ってからが、とても長く感じられます。
ぽかぽかとした陽気は、まだ数えるほどもないというのに、何のいたずらかカマキリの卵が羽化を始めてしまいました。


カエデの盆栽に生み付けられた卵から。
二日間ほど荒れ狂った、春の嵐がやっと終わりかけたとき。
枯れ葉のように揺れるものに目がとまりました。

なんと、こんな冷え切った日にカマキリの赤ちゃんが生まれてきているではないですか。



すでに一人歩きしているものも。


卵塊から、頭を出したところ。

糸を使って、ぶら下がりながら、脱皮をしていきます。



風に乗って、卵塊の上に逆上がり!
まだ、脱皮の途中だった子は、弾みで落下してしまいました。。。



やっと安定したところ。
でも、このとき空からは、雪がちらちら舞い降りてきました。。。。



どうして?どうやって?誕生のスイッチが押されたのでしょう。
本当なら5月頃に誕生する予定のカマキリ。
こんな季節では、寒さであっという間に死んでしまいます。


最初の食べ物になるアブラムシも、まだまだ数が少なくて、餌にたどり着くのも難しいでしょう。

10匹ほど誕生した赤ちゃんカマキリは、1時間後には5匹に減っていました。
風で吹き飛ばされて、石の上にぐったりとしているのを発見しましたが、葉っぱの上にのせても、もはや捉まる気力もないようでした。


結局、この日は最終的に5匹を確認して、夜になりました。


。。。今夜は氷点下の予報です。。。



翌朝、一匹だけ葉っぱの陰に!

自力でアブラムシをとって食べているようでした。


一度入ったスイッチは、作動し続けるらしくて、今日も午後から羽化が始まっていました。


この地方は、春は風の強い日が多くて、花粉やら黄砂やら窓を開けられないこともしばしば。
そんな中で、カマキリにしてあげられるのは、卵塊をそっと小さなビニールハウスの中に移すことだけです。
中には、芽吹いているバラの鉢を数鉢寄せておきます。
バラの新芽には、アブラムシがついていますから、強い風と若干の寒さしのぎになれば、生き残る可能性もあるというもの。


あと、2週間程度。
そうすれば、季節が進んで、カマキリも保護を必要としなくなると思うので。



これは仮説ですが。
早く生まれたカマキリは、寒さが厳しいと生き残るのは難しいです。
でも、生き残れば、本来の季節に生まれてきた子たちより、ずっと成長が早くて身体も大きくなり、繁殖には有利になるはずなのです。
もっと言えば。
次に生まれてくる子たちの捕食者になってしまうのです。


だから。


そんな宿命を背負って生まれてくる、子たちもいるのではないかなと思います。


もしかすると。


去年のカマキリの密度に関係があるのかもしれません。
カマキリは一匹ずつのテリトリーがあるので、たくさんのカマキリがいた去年。
最も早く卵を産んだカマキリが、早く生まれるようにプログラムをしたのかもしれません。
他の子が出てくるまでに、大きくなっていれば生き残れるから。。。。



どちらにしても、季節はずれの誕生は、悲劇的なリスクと背中合わせで、悲しくなります。